2026年7月初旬。私は人生で初めての沖縄旅行で、那覇空港に降り立った。その時の最初の感想は「空港内から既に暑い!」であった。
最も利用頻度の高い空港は羽田空港であるので東京基準で申し訳ないが、羽田空港で暑いや寒いと感じた記憶がなく、隅々まで空調をきかせておくのが都会的というか東京的な考え方なのかと思った。事実、沖縄ではバスやモノレールに乗っても車内がキンキンに冷えていることはなく、不快感を抱かない程度に外より少し涼しくしてありますという感じだった。都内なら外気温との差にむしろ寒すぎて上着を一枚羽織ることだってあるのにそれがないという意味では快適であったし、暑さに身体を適応させていくという点においては沖縄のほうが健全に思えた。更に暑さの質が違うなと思い、本州は気温だけでなく湿度の高さからくるムシムシとまとわりつく暑さがあるが、沖縄はカラッと暑いと感じた。たしかに暑いがジメジメやムシムシは無く、燦燦と暑いというのが正しいか。北海道はすっきり暑いという感じだったので、日本と北と南はこうも違うのかと感動する。
「沖縄は車社会だからプラス30分見ておきな!」、これは那覇空港でバス会社のお姉さんに教えていただいた金言である。最初は「ふーん。まあ地元も車社会だし、大したことないやろ」と舐めていた私であるが(お姉さんごめんなさい)これはガチだった。平日に旅行していた影響もあるのだろうが、夕方以降はバスが遅れ、数時間乗っていた長距離バスは最終的に30分以上遅れた。これは車の利用者が多いことによる渋滞もあるのだろうが(あと観光でレンタカー使う人も多そう)、人の時間感覚による影響もあるのではと沖縄初心者の私は考えたりした。またまた東京を比較対象に出すのだが、東京であれば公共のバスや電車が遅延している場合、各駅への停車時間を短くしたり少し運行速度をあげたりして対応するだろうし、車にだって「サンデードライバー」という言葉が生まれるくらいスムーズに運転できないことを指摘するような言い回しさえある。電車の遅延は1分であろうと「本日は電車の到着が遅れまして申し訳ございません」と丁寧にアナウンスされる。歩行者目線で見た時も、横断歩道を渡る時、ウィンカーを出している車が目に入ると急いで渡らなければと小走りになったりする。やむを得ず横断歩道の無い場所を横断する時なんて全速力でダッシュだ。これはこれで規律正しく円滑に社会生活を送ろうとする良い心がけだとは思うのだが、一方の沖縄ではこの精神とは別の次元で、人々は急かされることなく穏やかに生きているのではと思わせることが多々あった。先述のバスの話もそうであるが、まず遅延しているという事実がアナウンスされないので自分で調べない限り気付かない。私は特に急いで移動していたわけではなかったのと、長距離移動時は「寝れる!」と思う質なので降車直前になって「バスのお姉さんが言ってた通りだ!」と気付いたレベルだった。道路の車の流れもゆったりと感じ、沖縄滞在中にクラクションの音を聞いた記憶がない。バスにしても遅延しているからといって速度を少し上げているようにも感じなかった。あとは人の歩く速度。ゆっくりである。横断歩道の有無に関わらず横断ものんびりな人が多かった。私がドライバーの立場であったら「曲がりたいんだからさっさと渡ってよ!」とイライラしてしまいそうなところ、この南の島で育った人たちはそんなせかせかと生きていないのかもしれないと思い、途端に羨ましくなった。
何かに急かされているような感覚も、イライラすることも、少ない方がきっといい。心身ともに健康に生きていけそうな気がする。私もたまには「まあいっか」の気持ちで自分のペースで歩いていきたいと思わせてくれた沖縄旅行であった。


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