自慢ではないが、これまでの人生で財布を丸ごと落としたことが2回ある。
クレジットカード単体を落としたことも2回ある。
過去4回の大きな落とし物の経験がある私だが、いずれも全て無事に手元に戻ってきており、キャッシュカードやクレジットカードが不正利用されたこともない。ということはつまり、拾ってくれた人がおり、それを然るべき場所に届け、届けられた側が正しく保管し、私の手元に返してくれたということである。文字にしてみると当然のことかもしれないが、果たして海外で同じようなことを4回もして、全て無事に戻ってくる確率はどれほどだろうか。日本より高水準を出す国や地域は多くないと思う。
自戒のためにも過去4回の紛失を記録に残しておく。まずはライトなクレジットカード忘れについて。
1回目は大きな商業施設の中のフードコートの有人レジでクレジットカードを使い、商品は受け取ったのにクレジットカードをきちんと受け取らずに店を後にしてしまったパターンである。アホすぎる。
幸い日常生活圏内の場所だったので、帰宅後に気付いてから店舗に電話し、翌日取りにいった。紛失した当日に電話していなかったら警察に届ける運用だったそうで、そしたら受け取りに更に時間がかかっただろうからすぐに行動して良かった。クレジットカードとキャッシュカードを兼ねる1枚だったので、ダメージの大きい紛失であった。
2回目のクレジットカード紛失は空港のカードラウンジでのこと。ここまででもうお察しであるが、ラウンドに入るためのカードを提示した後、ラウンジ内で適当な席を見つけるまでの間に落とした。なんでだよ、と自分でもツッコミたくなるスピード感での紛失であったが、すぐに気付いてラウンジの受付に確認したら見つかって、身分証を見せるだけで手元に戻ってきた。フライト前のことだったので、気付かず飛行機に乗っていたら手元に戻ってくるまで時間を要していただろうからその場で気付いてよかった。以来、使ったカードはすぐに財布に戻すように心がけている。当然のことすぎる。
続いて、ヘビーな財布丸ごと紛失について。
1回目は、忘れもしない新卒の社会人時代のこと。初めてのボーナスが入って、少しお高い財布を買ったばかりのことだった。昼休みはいつもオフィス近くの公園のような開けた場所でベンチに座って持参したお弁当を食べていた。その時持ち歩いていた小さなバッグに財布も入れており、それを落としたというか、正確にはバッグの中を整理したかったのか財布を一旦脇に置いて、そのままバッグに戻し忘れたという…「落とした」というか「置いていった」という体たらくであった。しかも大きな長財布をである。見落とすか?買い換えたばかりの大切な財布を。しかも、お昼に失くした財布に気付いたのは退勤後の19時頃だった。仕事帰りに買い物をしようとしてバッグの中を見た時に財布がないことに気付き、慌てて職場付近に引き返して、届けられていそうなコンビニ等を回った。初めての財布紛失でパニックになり、半泣きでトボトボと職場の最寄り駅へ歩いていると、いつも通勤で通っている道に交番があることを思い出して藁にもすがる思いで駆け込んだ。凹みまくっている私を幼稚園児をあやすかのように励ましてくれた交番のお兄さんには感謝しかない。事情を説明して、どんな特徴の財布か、中には何が入っているか等、所有していた私しか把握していないようなことをいくつか伝えると、警察のお兄さんはすぐに担当の部署に問い合わせてくれ、「ありました!」と教えてくれ、私は心の底から安堵した。昼頃に私の財布を拾った親切な人が近くの交番に届けてくれ、付近の交番を統括する警察署に保管されているとのことで、「明日〇〇警察署でこの紙を見せれば受け取れますよー」と管理番号のようなものが書かれた紙を渡され、本人確認書類の提示が必要かもと言われた私はまた泣きそうになる。免許証も保険証も落とした財布の中にある…!私が再び半泣きになると警官のお兄さんは「大丈夫!財布の中身を正確に教えてもらったから本人だって分かってもらえるはず」とまた励まされ、ありがとうございますと繰り返しながら交番を後にした。指定された警察署はその交番からそう離れていなかったので、翌朝出社前に取りに寄った。都内の警察署に行くのは初めてで、署の前に立っている強面の警察官に止められたらどうしようとビクビクしながら中に入り、受付で昨日受け取った紙を見せると入館証みたいな首から提げる名札を渡され、2階に行くよう案内された。免許センターみたいだなと思いながら指定された場所に向かうと、同じような用件で訪れたと思われる人が数人いた。1階で見せたものと同じ紙を窓口に出して、少し待つように言われたので病院の待合室みたいな椅子に座らせてもらう。財布に入れていなかった唯一の身分証としてパスポートを持参していたけど、最後まで提示を求められることはなかった。数分後に名前を呼ばれて窓口に向かうと、ジップロックに入れられた私の財布があった。中身の確認をするように言われて財布を開けるとカードも身分証も現金も全て変わらずそこにあった。「大丈夫です」と伝えると昨日の何時頃に交番に届けられたのかということと、拾った人は返礼は要らないと言っていたということを伝えられた。警察署を出て職場に向かう道中で、私は財布を拾ってくれた人に宝くじで3億円当たりますようにと願った。
以来、財布は絶対なくさないぞと気を引き締め、コンパクトな財布が流行っても「小さいと見失う」といまだに警戒している私はずっと長財布派だ。しかし2回目の財布紛失が起こる。なぜかというと、旅行に行く時だけ、小さなポーチに最低限のクレジットカードと紙幣、小銭を移して持ち歩くからだ。しかも今はクレジットカードは勿論交通系ICまでスマホで使用できてしまうので、財布紛失に気付くまで時間が空きやすい。関西の旅行先で落とし、気付いたのは帰宅後の荷解き中という体たらく。一種の才能である。新幹線のチケットもスマホに登録できてしまうから財布を取り出す機会がなく、数時間気付かなかった。しかし旅行用の簡易財布だったことと、新卒時代に財布を失くして大慌てした経験から、財布を失くした後になにをすべきか分かっていたので「財布失くしたーやべー」と思いつつ、警察のホームページから落とし物の検索ページにアクセスする。財布の特徴を入力して検索してみるも見つからず、駅で落としたならあのあたりか?とあたりをつけて関西の鉄道会社に落とし物に関するページがないか探す。落とし物の特徴から検索できるページがあったので恐る恐る検索してみると、それっぽいものがヒットした。悪用されないための対策なのか、「条件に該当するものを預かっているので詳細を確認したい場合は問い合わせてください」という旨のメッセージと窓口の電話番号が表示される。電話して事情を話したうえで財布の特徴、中に入れていたクレジットカードの種類や名義、使った電車の情報(特急を使っていたので私の名前で予約記録も残っていて助かった)で落とし物の特定と本人確認が電話口でできた。しかし問題は財布の受け取り。関西には旅行で行っていたのですぐには受け取りにいけないと話すと、財布に入っている現金から送料を払ってもよければ送ることも可能だと言われ、お言葉に甘えることにした。もし財布にカードしか入れてなかったら着払いになっていたのだろうか。とにかく窓口のお姉さんはその日のうちに発送の手続きをしてくれ、数日で手元に戻ってきた。送料がいくらで、現金の残額がいくらか分かるように領収書まで丁寧に同封してくれていた。手間賃というか迷惑料で現金をすべて差し上げたいくらいであったが、丁寧かつ親切な仕事ぶりには感謝しかない。この出来事以来、旅行用のミニ財布(というかミニポーチ)には伸び縮みするリールストラップをつけて、ストラップの先をバッグのどこかに着けておくようになった。対策の甲斐あってか、財布紛失3回目は起きていない。なお、この対策後に前述のクレジットカード紛失事件@空港のカードラウンジを起こしているので、財布から取り出したものは使った後にすぐ戻すことを心に刻んでおきたい。
以上、私のおバカな落とし物歴であった。書いていて思ったが、財布以外のものを落としたことはないかもしれない…印象に残っていないだけなのだろうか。
とにかく、私の財布を拾って届けてくれた人、保管しておいてくれた全ての人々に感謝を。全員に宝くじが当たりますように。



コメント