わたしが海へ行きたくなるとき

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3月初旬に茨城県へ行ってきた。目的地は2つ。一つ目は偕楽園だ。日本三大庭園の一つ。兼六園(石川県)と後楽園(岡山県)は行ったことがあるので、去年から行ってみたいと思っていた。というのも去年福島県へ遊びに行った帰りに特急で品川へ向かう道中、車窓から綺麗にライトアップされた木々が目に入った。桜かと思ったが去年の2月か3月の話。特急列車が進むと「偕楽園」と同じくライトアップされた看板が見えて、その時から「必ず訪れよう」と心に決めていた。そして今年、梅の時期を狙って出発。特急の「ときわ」で品川から向かう。偕楽園駅に停車する特急を選んだので、下車して目の前に入口があった。品川から偕楽園まではおよそ1時間半。土曜日だったせいか特急の席はほぼ埋まっているように見えた

駅員の方が言っていたが、その日が梅の見頃としては最後の週末だったらしい。天気にも恵まれ、広い園内を歩く。なぜ梅の花がこんなにあるのか調べたところ、昔は食用として植えていたらしい。こんなのどかなところに沢山植えられた梅を、鳥が食べたりしないかと思ったが、酸っぱくて鳥の口には合わないのだろうか。園内には食べ歩き用の軽食や土産品を扱うお店がいくつかあった。茨城といえば干し芋のイメージがあって眺めていると、「丸干し」というさつま芋の皮を剥いて丸ごと干した、見慣れたカット済みの干し芋よりも、丸々とした干し芋が目に入る。作るのに手間がかかり、かつ茨城県内に流通するものがほとんどだと聞いた。たしかに、都内のスーパーやコンビニではお目にかかったことがない。お土産を買いつつ、ぶらぶらと散策を続ける。駅からは緩やかな坂を上ってここまで来たので、偕楽園の端っこに行くと線路や川を見下ろす形になる。見下ろす先にも梅が咲いていて、千波湖という湖も見え、たまに電車も走っていく。それだけで画になる光景であったが線路と湖の間を流れる川は桜川というそうで、名前まで雅だった。偕楽園を出た後はすぐ隣にある常盤神社へと向かう。毎年明確に初詣に行く計画を立てないため、随分遅くなってしまったが今年の初詣だった。参拝の記念に御朱印をいただくと、梅が咲いている期間限定の可愛らしい判子が押されていた。

神社を後にして、いま一度下り電車に乗る。目指すは二つ目の目的地、日立駅。駅が綺麗なのだと聞いていただけであまり下調べせずに行ったところ、改札を出る前の光景に目を奪われる。全面ガラス張りの通路の先にすぐ海が見えるのだ。海なし県育ちの私はそれだけで圧倒されたが、日立駅の定番の楽しみ方として「朝日を見る」というのがあるらしい。私はポストカードで写真を見た限りだが、外と隔てるものが大きなガラス一枚だと、夕焼けかと思うほどの朝日の光が一面に広がっていた。先ほど遅すぎる初詣をしたばかりだが、ここで見る初日の出もまた格別だろうなと思う。日立駅にきて、行こうと思っていたカフェが駅構内にある。駅の端っこから海側へ突き出すように建っているそこは「シーバーズカフェ」というカフェ。日立駅からの眺望を楽しみながらお茶や食事をいただけるという贅沢な場所だ。海側へ面したカウンター席もあれば、4人掛けのテーブル席もあり、一人客も家族連れもカップルも様々にいた。ちょうど昼時だったのでパンケーキランチを注文。パンケーキも今年初めて食べたかもしれない…と3月にして二度目の「今年初」を噛みしめる。自分が家で作る〇〇ケーキといえばせいぜいホットケーキで、やはりお店で食べる平たい円状のケーキこそを「パンケーキ」と呼びたくなる。軽く調べたところ「ホットケーキ」というのは日本独自の呼称らしい。リラックマの好物はホットケーキという認識であったが、海外ではあれはパンケーキとされているのか、それとも頭に「ジャパニーズ」とつけて紹介されているのか、そもそもリラックマって英訳されているのだろうか。ランチにはセルフサービスのスープやコーヒー、紅茶もついてきた。ここのホットコーヒーが美味しくて、三杯も飲んでしまった。バターをたっぷりつけたパンケーキやまぶされた粉糖、付け合わせのサラダにベリーソースのかかったヨーグルト、そのどれもにコーヒーが合うのだ。苦すぎず酸味が強すぎず、とにかく中間にいてくれるコーヒーが今回の旅で最も印象に残る味だった。

お腹を満たした後は駅直結の情報交流プラザ「ぷらっとひたち」に立ち寄り、お土産を買う。お茶やコーヒー、地元で作られた焼き菓子から地酒、甘酒まで揃っていた。地元の小さな洋菓子店で作られた商品は、ペーパードライバーの私には手に届きづらいので、こういう「一同集結」な空間がありがたい。旅行が趣味の身としては、今年こそ行きたいのだ。ペーパードライバー講習に。そういう話を周囲にすると、「いわゆる「地方」はそんなに車通りがないから大丈夫だ」と言われる。私の地元もそうだが車は一人一台が当たり前の場所で、果たしてそんなことがあるのか?といつも心配になる。それにまっすぐ走れても駐車はどうするのだ。S字クランクだとか、そんなものもとうに忘れてしまっているし、ガソリンの入れ方は教習所では習わなかった。免許取得後に実家で車を運転する機会はあったが、自宅とバイト先の往復がほぼ9割。バイト先はショッピングモールのような場所だったから、駐車場は広々としていたし、車でいくのは深夜の閉店作業がある時だけだったので広い駐車場のどこに車を停めようが自由で、要するに駐車スキルは不要だった。バックすら不要なレベルでのびのびと運転させてもらっていた身が、観光地にレンタカーで向かい、華麗に駐車できる日が来るのだろうか。今後の成長に乞うご期待。

話は大幅に逸れたが、日立駅の前には河津桜が植えられていて、ちょうど梅の時期に合わせて見頃だった。一足先にお花見までできて特をした気分だったし、車で颯爽と駅前のロータリーにつけて、桜の写真だけ撮って満足気に去っていく人もいて、地元の人にとっても楽しみな光景なのかもしれない。たしかに大きく見事な桜の木だった。すぐそばの海とあわせて楽しめるなんて贅沢だ、と海なし県育ちが言っております。海を見るだけで「遠くに来た」と思える、コスパの良い感性だ。この感覚は日本中を旅行しようと消えることはなく、ディズニーランドへ向かう途中に海が見えるだけでテンションが上がる。「海が無い場所で育った」という事実はいつまでも新鮮に私に海の感動を教えてくれる。この感覚は失くしたくない。

復路は日立駅から再び特急に乗り、品川まで帰る。スカイツリーが見えてくると帰ってきたと感じる。何事にも感動できなくなった時、また茨城へ海を見に行こうと思った。あのカフェで海を見ていたら、萎れた感情もきっと元気になるだろう。電車で行ける、海の見える大事な場所が、私のなかでまた一つ増えた。

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