「長所の裏返しは短所」ということを聞いたことがあるが、物は言いようというか、本当にそうなのだろうかと考えてきた。
けれど、最近自分の中の強さと弱さについて、「お互いにバランスをとっているっぽいぞ」と感じた瞬間があったので書き残しておく。
私は、冬になると体調が悪くなる。特に12月と1月。
毎年のようにインフルエンザになるとか、内科にかかるタイプの不調ではなく、ベッドから起き上がれなかったり、テレワークのためになんとかデスクについても、考えがまとまらなかったり。とにかくそんな具合で冬の間は休み休み仕事をするようにしている。絶対に無理はしないと決めて。
会社に出社しなければならない朝。目は覚めるが、身体が重くて起き上がれない。前日から寝ても寝ても寝足りなくて、シャワーを浴びる体力すらなく朝になってしまうこともある。
ただでさえ寒い冬の朝に、シャワーを浴びるなんてできない体調。
「またか」と自分にうんざりして、上司に休みを申し出る文面を考える。会社に行きたい、仕事がしたい、と思っても身体はベッドから離れられなくて、上司に連絡を入れる。
自分の不調について、通院は続けていて、冬の間は薬の量を増やしてもらったりもする。
なのに、どうしても動けない日がある。自己管理とか自己責任とか、そんな言葉もあるが、どれだけ管理しようとしても、言うことを聞いてくれない、ままならない自分。
情けない、と思いながら、上司の返信を待つ。とてもありがたいことに、こういった休暇申請を断られたことは無いし、体調についても詮索されない。上司からの「お大事に」という言葉を見てから、ようやく再び眠れる。
恵まれた環境にいるはずなのに、どうしてこんなに動けないのか。
働きたいのに、頑張りたいのに。
怠けているだけなのかもしれない。気の持ちようなのかもしないし、なにもかも、気のせいなのかもしれない。
考えることに疲れてまた眠る。
眠る時にいつも、次に目が覚めた時、体調が良くなっていなかったらどうしようと不安になる。もっと悪化していたらどうしようかと。このままずっと、悪くなり続ける一方で、もう働けなくなってしまうのではないかと、これを書いている時点でそんなことは起きなかったのに、どん底まで考え込んでしまう自分もあの時たしかにいたことを覚えている。
考えすぎ。真面目だから。繊細なんだよね。
そんなことを、家族や友人、学校の先生に何度も言われてきた。分かっている。そんなことはもう、分かっていて、私はこの動かない身体と頭をどうにかしたいともがいている。
「このままずっと会社に行けなかったら」と不安に思っていたことは現実にならず、週の終わりにはいつも通り出社できるようになっていた。
小さな事件はその復帰した朝に起きた。朝食を食べた後に、朝食用のヨーグルトの賞味期限が6日も過ぎていたことに気が付いた。ぎょっとして、でももう食べてしまった後だし、発酵食品だし、あくまで賞味期限だし、大丈夫だろうと自分を無理矢理納得させて出勤した。
その日は一日、いたって元気だった。お腹を壊すこともなく、昼食も夕食も普段通りのものを食べられたし、仕事での急なトラブル対応も、残業もしっかり対応できた。上司やお客さんとも会話ができた。
その日、家に帰ってから一日のことを振り返って、「自分には強い部分もちゃんとある」
と思った。別路線の運転見合わせの影響でぎゅうぎゅうだった満員電車でも立っていられたし、たまたま立ち寄ったコンビニで食べたかったお菓子も見つけられて、仕事を無事に終えて帰宅できた。体幹の強さ、辛抱強さ、運の強さ、根気強さ…私のなかの色んな強さが混じり合って、今日顔を出してくれた。その時、ベッドのなかで不安になっていた弱さの部分は引っ込んでいた。
たぶん、私の中には「強さ」と「弱さ」を担当する大臣みたいな人たちがいて、それぞれずっとは働けないから、交代制で勤務しているんだろうなと、ふと考えて、妙に納得した。
強さも弱さも、私と同じで疲れたら動けなくなって、バトンタッチしているんだろうな。
どんなに好きな食べ物でも、ずっとそれだけを食べていたら飽きてしまうし、悪いことも長くは続かないというし、ずっと笑顔でいるのも、大きな声で喋るのも、じっと黙っているのも、ずっとはしんどい。たまに家族や友人と食事にいくとすごく楽しい。だけど、毎日はいいかな。
元気になった特別なきっかけはなく、ただ眠って、ただ休んで、ただじっと、生きるエネルギーが湧いてくる時間を待っていた。待つことは難しく、苦しい。いつエネルギーが湧いてくるか、自分にも分からないから。それでも、2日ほど休んで体調は良くなった。「なんだ、元気になれたじゃん」とその時は思うのだが、次に倒れた時に、私はまたどん底まで落ち込むのかもしれない。強さ大臣が休暇に入って、のんびりで心配性な弱さ大臣がゆっくり出社してきて、ゆっくりと退勤していく。リフレッシュして帰ってきた強さ大臣は最初にお土産をくれる。私の忍耐強さとかちょっとした運の良さとかを教えてくれる。
私はまた体調を崩すだろうし、落ち込んでしまうかもしれないけど、強さ大臣はきっと帰ってくるよということを、ちょっとでも覚えておきたい。

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